私は女性と合意のうえで季節限定の恋人になったことがあります。
当時私は、しばらく彼女をつくるつもりはなく、興味があったスキーに打ち込んでいました。
ある年のクリスマスに1人でスキースクール付きの2泊3日スキーツアーに参加しました。
スキースクールでは、最初ある斜面を滑って技術に応じたクラス分けをするのですが、一緒のクラスになった中にちょっと可愛い女の子がいました。
1クラス6人、男性4人女性2人だったのですが、スクール最終日にちょと可愛い女の子から電話番号を聞かれ、スキー場以外でも会って欲しいと言われました。
自分は今しばらく彼女をつくる意志がないこと、北陸と東海では会うのが難しいのではないかということを伝えましたがどうしてもと言われ、連絡先を教えました。
正直、性根もやさしく可愛らしい女性だったので、彼女が欲しい時期なら距離が離れていても付き合うこと即OKだったかもしれません。
スキースクールから戻ると、すぐに彼女から付き合って欲しいとの電話がありました。
話の上、今は、自分が彼女をつくる意志がないことを説明し、それでもというなら、期間限定の恋人ではどうでしょうかと私が提案し、彼女も納得してくれました。
期間限定とは、冬から春の終わり頃までという約束でした。
共通の趣味がスキーだったので、話し下手の私でも何とか会話はできました。
スキー場と日を決めてスキー場で会ったり、彼女が一緒にバスツアーに行きたいというので、私が名古屋まで行ってそこから八方尾根スキー場までツアーで行ったりしました。
2人が出会ったスキー場にも日を会わせて行きました。
技術レベルは私の方が上でしたが、一緒に滑る分には支障はありませんでした。
レベルと息が合わないと難しいのですが、二人で同じラインをトレースして滑ったり、二人で横になって手を繋いでパラレルで滑ったりして楽しんでいると、ゲレンデで注目を浴びることもありました。
結局私は、彼女のおかげもあってか、シーズン終盤にSAJ1級を取ることができました。
彼女は取れなかったのですが、自分のことのように喜んでくれて、自分が恥ずかしくなるくらいでした。
SAJ1級は確かにスキーをしている人にとっては高いステータスの一つです。
他の人はスクールに入ったりして一生懸命練習していましたが、(私も一応事前講習は受けましたが)私は基礎スキーを本気で始めた時、教わった人にある程度滑れるようになったら自分の技術レベルを確認するために級の試験を受けると良いよと勧められていたので、あまり取得には固執はしていませんでした。
どちらかというと、定められたこと(例えば20m×200mの斜面でスキーを平行操作で4回均等なターンをすること等)をするとき、下でジャッジしている検定員に自分はこういう意思を持って滑っているということを伝えたいという点に重点を置いて演技していたので他の人とは少し感覚が違っていたのです。
そのことを彼女に話した時は、非常にビックリしていました。
元々のスキーへの考え方が、スキーのスタイルやスケールに表れるんだろうなと彼女は言っていました。
(これって、男女間の相手への想いに似ているなという思いが私の頭をよぎりました。)
私は、条件のついた制限下でも、全くフリーの時でも、雪や周りの景色と対話して滑りたいな- と思っているんだと話したらそれについても驚かれました。
話しは、遡りますが、彼女と2回目にスキー場で会ったときは、彼女は『かわいい』から『綺麗』に変わっていました。
女性は特に恋をすると変わると聞きますが、期間限定でと納得の上とはいえ、彼女の中には本当に私への恋心があるのではないかと、私の心の中に罪悪感が少し芽生えたのは事実です。
スキーをしている時も、スキー場以外でも本当の恋人なのではなかろうか? と私自身も錯覚したことがあるくらいです。
でも、まれに、彼女自身が自分の行動に対してあなたはどう思う? 他の男の人ならどう思うかな? ということを聞かれたことはあったので、彼女の中でも期間限定というか何か歯止めのようなものをかけていたような気がします。
彼女が私の地元まできて、車で案内して回ったり、彼女が会いに来てというので車で彼女の所までいって、彼女に彼女の地元を案内して貰ったりして、本当に恋人同然の付き合いをしていました。今考えると、パワースポットとして紹介されている所も幾つか訪れていました。
しかしながら、桜の終わる頃には、断腸の思いで、そろそろ会うのをやめようと私から話しを持ちかけました。
彼女はしばらく渋っていましたが、突然、社内の移動で関東に行くことになったと涙ながらに電話がかかってきて、やはり当初の決め事どおり恋人関係は解消しようということになりました。
そこで異動前に最後に会いましょうということになりました。
最後に会った時に、彼女から私と付き合ってみて、
男の人でも、女性に対しても、仕事に対してもこんな考え方をする人がいるんだと感じたこと
人を信じることが難しいことが分かっていても、騙すより騙される方がいいといって実践しているひとがいることが分かったこと
人間のやさしさ、あたたかさ、心の痛みを理解してくれるひとがいることが分かったこと
本当にあなたと出会えて良かった、自分の中で何かが変わった実感があるの
どうしてもあなたの考え方や行動の仕方を社内の男性と比べてみてしまいがちな自分が怖かったけど、本当にあなたと出会えて良かったと感謝している
と言われました。何か、非常にくすぐったい感じがして恐縮した次第です。
私も彼女に、
初めて出会ったときと2回目出会った時の雰囲気の変わりよう、『かわいい』⇒『綺麗』と感じたこと
表現の仕方や感情の表し方が柔らかくなたこと
一つ一つの仕草(所作)に変化が見られるようになったこと
私にだけでなく、周りの人たちへの思いやりが感じられるようになたこと
変にとってほしくないんだけど、可愛い女の子から心優しい女性へ変化したように思うこと
本来、自分が持っていた『いつくしむ』という感情が自然と表に現れてきて、魅力的な女性に変わっている途中なんじゃないかなと感じていること
あなたの言葉で自分の考えの至らなさ、自分の気遣いの足りないところや過ちに気付かされることがあったこと
あなたの優しさで、つらいとき、苦しいときどれだけ救われたか、感謝していること
など、感じたことを伝えました。
確かに彼女は、以前付き合っていた人とも違っていたし、私自身、周囲の人から何か少し変わったんじゃないと言われることもあり、彼女の影響を受けたことは確かです。
もしかすると、期間限定とはいえ、恋人だけでなく、お互い何らかの愛情が芽生え、それがお互いに良い影響を及ぼしたのではと思っています。
恋愛から学ぶことは多いと思います。
恋愛は人を良きにつけ、悪きにつけ成長させてくれます。
きっかけがあればどんどん恋をしましょう。
怖がらずに恋をしましょう、直感的にこの人と思った時は話しかけてみましょう。(ストーカーにはならないように。)
人を愛してみましょう。
これが今回の私の期間限定恋愛の教訓です。
今回、私の場合は、『スキー』という共通の話題から恋人に発展した例ですが、共通点があるというのは彼氏、彼女、恋人となるうえでは非常に大きなポイントの一つです。
身にしみて実感しました。